前代表社員長崎真人自分史
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第三部】第十三話 日本代表としてモスクワへ
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豪奢ガスツニッツァ・オスタンキノでの10日間
  ホテルは帝国ホテル並みではないかと思った(実は帝国ホテルは勿論、私は日本ではホテルと言うものに泊った事はなかった)。広い敷地の美しい緑に囲まれた白亜の建物が夢の国のようだった。設備も近代的、バス、トイレ、ベッドすべてが新調だった。ホテルの窓を開けると、眼前に国立科学アカデミー植物園のお花畑が広がっていた。

 食事は、広々とした明るいレストランで、各国代表団一緒でバイキング方式。それが、半植民地の最下級の生活しか知らなかった青年にとっては、目を見張るようなご馳走の山。ボルシチ・ピロシキは勿論、ハム・ソーセージ等の肉類も野菜や果物、飲物も何十種類。
 

 自重していたつもりだったが、三日目に急行列車になってしまった。私には、黒パンが一番おいしかった。

連日のレセプションで世界各国青年と友情の交流
 モスクワでは、各国青年による夫々の民族文化の交歓や、ソ連の一流芸能人による歓迎行事が毎晩開かれた。私は、一度だけボリショイ劇場のバレーを見に行った外は、それらのイベントには殆ど出ないで、専ら各国青年代表とのレセプションに参加した。