前代表社員長崎真人自分史
目次へ 前のページへ 次のページへ
第一部】第十二話 台北一中から花蓮港中学へ転校(
 
 こんな具合でしたので、私には頼りに出来るものは何もありませんでした。幸い父が養成工の宿舎の舎監になり、やがてその宿舎の一室を私にあてがってくれたので、学校から帰ると、そこに閉じこもって深夜まで勉強しました。

 頼みは、台北で買ってきた2冊の参考書だけでした。私はそれがボロボロになるまで、繰り返し繰り返し完全にマスターするまで徹底して勉強しました。
新しく教科に加えられた数学の順列・組合せなどは、花蓮港中学ではほとんど教えられませんでしたので、完全な独学といって良かったでしょう。
 
 それにしても、あの戦乱の時代にあって、花蓮港の美しく伸びやかな環境で、思う存分勉強に打ち込む事が出来たのは、夢多き私の少年期に、忘れえぬオアシスのような幸せなひと時でありました。

花蓮港中学の学友と私
花蓮港中学の学友と私(左端)