前代表社員長崎真人自分史
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第一部】第十二話 台北一中から花蓮港中学へ転校(
 
敗色すでに濃くこの年学徒出陣始まる

 この年2月には、スターリングラードの大包囲戦で独軍が完敗し、5月にはアッツ島のわが守備隊が玉砕、9月には枢軸の一員であったイタリアが連合国に無条件降伏。緒戦の戦果の勝利気分はすでになく、敗色にじむ事態になっていました。これらの詳細については極秘とされ、われわれの知るところではなかったのですが、総てにわたって戦時動員体制が強化され、ひしひしと身に迫る形勢でした。
それまで徴兵延期になっていた大学生のうち、文科系学生に召集令状が発せられ、いわゆる学徒出陣となったのもこの年でした。
 


この年敗色すでに濃く学徒出陣始まる

  文句は勇ましいが、メロディには悲壮感の漂う学徒出陣の歌でした。
戦後「聞けわだつみの声」などの文集で知らされたところによれば、これら出陣学徒のほとんどが空しく南方戦線の露と消えたのでした。