前代表社員長崎真人自分史
目次へ 前のページへ 次のページへ
第一部】第十二話 台北一中から花蓮港中学へ転校(
 
「桃源に遊ぶ」花蓮港での1年

 花蓮港は、台湾東部随一の築港を抱いた小都市です。
 台湾は、九州よりも一寸小さい南の島ながら、雪を頂いた3千メートル級の高山が幾つも聳え立ち、かっては「高山国」とも呼ばれていました。最高峰3952メートルの玉山(新高山)をはじめ富士山よりも高い山が六つもあります。
 その背梁山脈が東寄りに走っているため、西側に豊かな平野を育んでいるのと対照的に、東側は、一部は断崖絶壁となって渺茫たる太平洋に臨み、一部南寄りに僅かな平地を抱えるに過ぎない。永く人を寄せ付けない未開の土地でした。
 

 戦後、台湾政府の努力で全島一周の鉄道も完成しましたし、空路で台北から約1時間で花蓮飛行場に降り立つ事もできるようになりましたが、その当時、台北から花蓮港に向かうのは1日がかりでした。それも、断崖を掘削して作られた、バスの車幅ぎりぎりの臨海道路を6時間もかけて通る、時により命を賭けた旅でした。

ゆり