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親戚からも、遊んでいた山の畑地を借受け開墾した。「むじな沢」と呼んでいた、その山の畑は、永年、人の手が入っていなかったと見えて、腐葉土で肥えていたが、木の根・草の根が一面に張っていて、これを掘り起こすのは楽ではなかった。掘り出した草木を燃して灰にし、その灰にまぶして豆とジャガイモを植えた。家から30分ほどかかる山道を、毎日、肥タゴを担いで通った。
やがて、親指の先ほどの小さな芋が根につき始めた。もう待ちきれなかった。その小さなコロコロしたのを、根を傷めないようにそっと掘り出し、谷川の水で洗い飯盒で煮て食べた。
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山の空気はさわやか、松の香、土の臭い、胃の腑には久しぶりの充足感があり、父と子とふたり原始に帰った幸せを味わった。
しかし、こんな事では、一家を養う事はとてもできなかった。父は、労働の激しさで現実から逃れるかのように、ひたすら働いた。 |
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