前代表社員長崎真人自分史
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第二部】第一話 万感の想い込め、さらばイラ・フォルモサ(まえがき)
 
ヤドカリ白く輝く砂浜
タコノキの林
幼い日、ヤドカリと遊んだ想い出
私は、この島に生まれ、18歳のこの日まで、
この島で育てられた
みんなみの島、蓬莱、高砂の島
豊かな自然に恵まれたこの島は、有史以来、
人々の憧れの仙境であった
日本人がこの島に来て50年
父母が、幼い兄と姉を抱いて渡台して
20年の歳月が流れる
 
青春の夢を追ってこの島に来たり、
人生のすべてを失って去る老人もあろう
肉親の骨をこの島に残してきた人もあろう
私のように「湾生」と呼ばれ、
台湾を故郷とする日本人二世も少なくない
絶ち難い想いを胸に、人々は今、
深い沈黙に包まれて引揚げの船上にある
恐らく、この島に再び訪れる事はあるまい
白く輝く砂浜 さらば常夏の島
 さらば吾が故郷の島よ!