前代表社員長崎真人自分史
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第三部】第十五話 悪戦苦闘!職業転々の数年 わが人生最高の体験記
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家電小売店の経理主任に
 残念ながら赤字続きの書店経営を、これ以上続けるのは無理。加えて「民族の壁」を知った事が、私の心に澱となって、二重の限界を感ぜざるを得なかった。
 そんな事で悩む私を見て、横浜南区の居住の仲間が、上大岡在の電器屋を紹介してくれた。
 有限会社I電機商会と言って、小僧さんが二人の小さなお店だったが、店主は中々の商売上手で、当時出始めていたカラーテレビを主力に、効率の良い商売をしていた。
 Iさん一家は、地元で永く精米業を営んだ旧家で、その長男が学生時代に治安維持法で投獄され、戦後3人兄弟揃って共産党員になっていた。その末弟が電器店の経営者だった。だから、私を最初から信用して経理一切を任せてくれた。
 
 電器屋の経理は、仕入れは分割の手形、売りは月賦が多く、単純ではない。
 私は、簿記・会計・税務について、初歩から勉強して店主の期待に応えようと努めた。横浜国大経済学部の民青員に教わって、大学生が使う教科書を何冊か入手して読んだ。初手から比較的複雑な電器店経営の税務会計に取り組んだと言う事は、その後の私にとって幸運だったかも知れない。

 3月ほどして商工会議所主催の検定試験を試みに受けてみたら、2級に合格した。有限会社だったので、年1回の決算と法人税の申告もやることになったが、何とかやり遂げた。経営分析も初歩だが身につけて、損益分岐点を算出し、最低必要売上高や利益率についてのシュミレーションもやった。