前代表社員長崎真人自分史
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第三部】第十五話 悪戦苦闘!職業転々の数年 わが人生最高の体験記
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力任せにやれば見当をはずす。見当をはずすまいとすれば、力が抜ける。

 “なんだ女みたいに腰振りやがって”親方の怒声が飛ぶ。負けじと打ち下ろす途端に、鉄骨を留めていた三角の金具がはじけて親方の足を直撃した。「弁慶の泣き所」と言われる脛の急所だ。思わずハンマーを投げ出して駆け寄ろうとする私に、「何ウロウロしてんだ!いいから続けろ」と言う。
 まだ30代前半の若い親方だった。痛みを表に出さず、私の失敗を何事もなかったかのように飲み込んで、作業を続けるその姿に、私は“労働者の根性”、“職人の気風の気高さ”、“男の中の男”を見た思いがした。
 
道路建設現場で見た農村青年の働きぶり

 職安の日雇いで保土ヶ谷の道路建設現場に行った。仲木戸の職安からトラックに載せられて行ったので土地勘が働かなかったが、今思うと町田から横須賀に貫ける自動車道路の補強作業だったと思う。
 厚みが50センチもあるコンクリートを掘り返し、2メートルほど掘り下げ、下部から打ち直す。その厚いコンクリートを鶴嘴一丁で掘り返す作業だ。
 現場監督が来て、作業員一人一人に一坪づつ白墨で印をつけて割当て「これだけやったら帰ってよし」と言う。