前代表社員長崎真人自分史
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第三部】第六話 レッドパージの嵐の中で()
 
第6話

 この年6月25日朝鮮戦争が勃発した。
 第2次世界大戦終了後、次第に高まっていた東西の対立がついに火を噴くに至ったのだ。米軍の占領支配下にあった日本は、その前線基地として全面的に戦争体制に組み込まれ、これを機にして我が国は、政治・経済・社会の全般にわたって、今に続く重大な根本的な変化に見舞われることになった。

 米軍基地からは連日、爆弾を積んだ軍機が飛び立ち、港湾・道路・鉄道は戦車や武器弾薬の輸送と積み下ろしで夜も日もなかった。
 
 横浜・横須賀に向かう貨物列車はナパーム爆弾を満載して走り、首都近郊の基地の病院には、米軍兵士の戦死体、あるいは負傷者が絶え間なくヘリコプターで運び込まれた。正に日本全土が戦闘体制に組み込まれた状態だった。
 ここ数年来問題の「有事法制」の実際のモデルをこの時に見る。

 かっての軍国日本の軍需工場は米軍の「特需」で息を吹き返し、そのおこぼれで独占資本復活の基礎を築く事になった。
 対米従属的な日本独占資本の基本的な性格はこの時に発する。

 警察予備隊(現在の自衛隊)も、この年8月に創設された。その警察予備隊は、米軍基地で米軍の装備で米軍の指揮で訓練された。最初からまぎれもない米軍下請の軍隊であった。