前代表社員長崎真人自分史
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第三部】第六話 レッドパージの嵐の中で()
 
 折りしも始業のサイレンの鳴る中、意気揚々とスクラムを組んで広い構内を一巡した。パージ組が無事職場に入ったのを見定めて、Uターンして、表門に戻ると、門扉はガッチリ閉じられていた。スクラムを固め突破するほかあるまいと覚悟し、2〜30メートルの近さに迫ったところで守衛が突然門扉を開けた。その向うにはギッシリと人垣を作って警官隊が待ち構えていた。


12名の仲間と現行犯逮捕
 「総検!(総員検束の意味)」と棍棒を振り上げる警官隊の胸板に、スクラムを組んだままドンと体当たりした。先頭に居た私は、警官隊の隊列を突き抜けたらしい。
 
気がつくと、工場の塀に沿って夢中で走っていた。後から2人おまわりが息を切らせながら追ってくる。生憎の小雨で塀沿いの道はぬかっていた。あっと思う間無く足を滑らせて側溝に倒れ込んだ。その背に覆いかぶさるようにおまわり2人がのしかかって逮捕されてしまった。それでも100メートル近くは走ったようだった。元の正門前まで腕をねじ上げられて来ると、すでにトラックの荷台に10数名の仲間が乗せられていて私が最後だった。