法制審議会(法相の諮問機関)の民法部会は2014年8月26日、消費者や企業の契約ルールを定める債権関係規定(債権法)の改正原案をまとめました。(民法(債権関係)の改正に関する要綱仮案)
抜本改正は民法の1896年の制定以来、初めてです。来年2月には答申し、その後、通常国会に民法改正案を提出する方針です。
「民法(債権関係)の改正に関する要綱仮案」によると、法人が金融機関から融資を受ける際の第三者保証が、原則禁止となりそうです。
今年の2月に実施された中小企業庁の実態調査によりますと、借入金のある中小企業は73.8%、そのうち経営者が個人保証をしているのは86.7%となっています。(納税通信)
金融機関においても中小企業に融資を行うときには、当然のごとく経営者の個人保証を求めてくるのが実態です。しかし、消費税増税や円安などにより経営破綻した場合は、それが経営者と家族の生活破綻にそのまま繋がる状況となっています。
こうした現状の中、金融庁は2011年7月、経営者以外の第三者保証については、(連帯保証人が多額の借金を背負って、生活破綻に追い込まれることがあるため) 第三者保証について求めない事を原則とする監督指針の改正を行いました。しかし例外として、「十分な説明と自発的意思」であれば連帯保証人になれるという抜け道はあった。
第三者保証原則禁止への半歩となるか?
こうした改正などに加えて、より改善を求めて今回の「民法(債権関係)の改正に関する要綱仮案」では、金融機関が個人企業などに融資をする際の個人保証人に一定の制限を設けて原則禁止としたものです。保証人となるには、「締結1ヶ月以内に作成された公正証書により、保証債務を履行する意志を表示しなくてはならない」とされる予定です。
しかし、法人への融資の場合の取締役・執行役・筆頭株主と個人企業の共同事業者・配偶者は除かれるとされる抜け道が残されました。
この改正が前進といえるのかは、はなはだ疑問ですが、少なくとも個人生活の全面的破綻や一家心中などの悲劇に歯止めがかかるのではないだろうか、ほんの半歩の前進でしょうか。「事業の破綻を経営者が自らの人生をかけて償い、金融機関はその痛みを感じない」とする体質を改めて、個人保証人の全面禁止を求めていきたいものです。
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