8月20日(火)東京都内で東京税財政研究センターが発刊した『実践・滞納処分の対処法/差押え』のシンポジウムが行われました。
シンポジウムでは、事業実態・生活実態を全く無視した滞納処分に悩み苦しみ自ら命をたった夫の遺書を涙をこらえて報告した納税者、徴収する側の国税・地方税職員、滞納処分に「差押え」を活用し対応した税理士・業者団体がそれぞれの立場で「滞納問題」について意見交換しました。
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(挨拶をする永沢理事長)
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自殺に追い込まれた納税者は、当時のやりとりを生々しく報告しました。
納税者 「滞納の税金は払いたい。分納の相談に乗ってほしい」
徴収官 「だめです。全額600万円をすぐ支払え」
納税者 「分割でお願いしたい」
徴収官 「2〜3回で支払え。それ以上でもそれ以下でもダメ」
納税者 「とても支払えない。死ねというのですか」
徴収官 「強迫するのですか。死んでも子供や兄弟からでも支払ってもらう」
こんなやり取りのあった日の夜、納税者は「生命保険で支払ってほしい」との遺書を残して命を絶ちました。
国税・地方税の徴収職員は、
国税庁は「滞納となった場合には、滞納者個々の実情を十分に把握した上で法令等に基づき適切に対応。大口・悪質や消費税滞納事案の整理促進」するように指示しているが、悪質な滞納者か否かの判断は徴収官個々の判断・裁量に任されており、また、ノルマ主義・成積競争の中で無理な差押えを行っている事例も見られる。
納税者の事業実態・生活実態に即した滞納処分を進めていくうえでの悩み、難しさを報告。
滞納処分の停止をさせた経験を報告した税理士は、
完納の意思を持ち、毎月2万円納付しているが高齢となり収入も大幅に減少し自己破産状態になっている納税者の滞納税金について「滞納処分停止通達(平成12年6月30日国税長官通達)」を活用し、滞納処分の停止を実現させた事例を報告。
シンポジウムに参加した市会議員は、
地方税の特に延滞金の収納が周辺の市町村と比較をしても際立って高額になっている。議会で追求をしているところであると報告。
『実践・滞納処分の対処法/差押え』を発刊した東京税財政研究センターは、そのスタンスを、『国税徴収法そのものを否定する立場で書かれたものではない事。また、滞納者に対して滞納処分を回避するための脱法行為を伝授するものでもない事。 国税徴収法1条を是としたうえで、滞納者に対しては「納税の誠意」の重要性を説く一方、行政に対しては納税緩和の活用を柱とした「血の通ったあるべき徴収行政」を主張する』ものと述べています。
* 本書は東京税財政研究センター(電話:03-3360-3871)または当事務所にお申込下さい。
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