前代表社員長崎真人自分史
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第四部】第四話 ゼロから出発の税理士事務所()
 
小鳥の声で目覚め野兎を追う郊外住宅地
 玉川学園は、その名の通り玉川学園が開いた郊外の住宅地。幼稚園から大学までの瀟洒な校舎が、池や樹林の整備された園庭に散見する。
 南北に走る小田急線の駅を中心にして、東西両側の丘陵地には、緑に包まれた高級住宅が、ゆとりを感じさせて建っていた。
 朝、騒がしいほどの小鳥の声で目覚める。早速「赤旗」新聞の早朝配達を引き受けたので、6時には家を出て車で1時間ほど傾斜地を駆け回った。ほとんど人影を見ない車の前に突然、野兎が飛び出して驚かされたりした。
 今は昔語りであろう、玉川学園もその後どんどん住宅が立て込んで、すっかり様変わりしてしまった。
 
算盤が苦手の税理士一年生
 妻が化粧品のセールスをやっていた伝で、4・5件の客ができた。町田民商からも何軒か紹介して貰えた。座間市内に大きな事務所を抱えた税理士の大先輩で、税理士会支部の役員をしていた人と、関与先の会社で出会って仕事を廻して頂いたりした。あれこれで、1年余で関与先が10件を超える事になった。
 当時は、まだ算盤で仕事をする時代だったが、その算盤が苦手で、客の前で算盤を入れる段になると、冷や汗をかいた。