前代表社員長崎真人自分史
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第四部】第一話 湘南商工会事務局員として「民商攻撃」に直面()
 
 これは私にとっても、正に「眼から鱗」であった。
 私なりの理解で概説すれば、「増本理論」は、主権在民の憲法体系のもとで、法人税法・所得税法に規定する税務調査の法的意義を抜本的に見直したもの。

 自主申告権は、主権者である国民の基本的権利の重要なひとつであって、全体の奉仕者としての公務員である税務署員が、納税者の申告内容について調査を許されるのは、更正・決定のみを目的とし、申告の計算を疑うに足る合理的な根拠がある場合に限り、その調査理由を開示し納税者の納得を得た上でなければならない。
 団結権は当然尊重すべきであり、信頼するに足る第三者に立会いを求めるのは、これも納税者・国民の当然の権利であり、公務員は最大の尊重を要すると言う事。
 
 私にとって、極めて新鮮であったのは、憲法を国民の立場で、積極的な人権擁護の戦いの武器として見直す視点。憲法を基本とし、これを税法解釈の理論的根拠にすえ、その視点から税法の条文を詳細に見直すと、全く違った発見があると言う事だった。
 これが不当攻勢と戦う、湘南商工会の会員・事務局員の戦いを限りなく励ました意義は大きい。
 この理論は「納税者の権利10か条」として具体化され、全国的に普及を見て、今に至る納税者の武器となっている。