前代表社員長崎真人自分史
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第三部】第三話 激動の情勢下で()
 
「怒りの渦は奔流となり」警視庁へ
 リーダーとおぼしき一人が小さな台にすっくと立ち「諸君!この怒りを如何にすべきか!」と叫んだ。「そうだ警視庁に行こう」「警視庁に抗議デモだ」と口々に叫ぶや、忽ち堅い隊伍が組みあがった。正に「怒りの渦は奔流となり」(直後に作詞作曲され中央合唱団が歌った一節)、デモは、都庁から宮城前に出て、当時占領軍の指令で一切の集団行動が禁止されていたGHQ前を通り、お堀際を警視庁に向かってひた走りました。遮るものは何もなく警視庁に到着した隊伍は、正面玄関に激しい波状蛇行デモを加え、あっという間もなく整然と流れ解散した。
 警官隊を満載したトラック数台が、けたたましいサイレンを鳴らし猛スピードで駆けつけたが、既に後の祭りでした。鉄兜にカーピン銃の米兵のトラックも間が抜けた調子で行き過ぎました。
 
抗議の都電スト
 橋本金二の出身労組・東交柳島支部は、翌朝の一番電車から抗議のストに入り、都内いくつかの支部が呼応して殆どの都電が停止しました。
 数千の労働者・市民が、翌日も都庁に押しかけました。しかし、増員された警官隊が都庁を取り囲んで近づく事ができません。そこ、ここで6尺棒を構えた警官隊と小競り合いになりました。みんな悔しさに唇を噛み、追い払われても追い払われても去らず、それがその翌日まで続きましたが、警官隊に守られて議場に入った議員たちによって、血に染んだ公安条例は都議会を通過させられたのでした。