前代表社員長崎真人自分史
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第三部】第ニ話 若さ一杯の青共本部()
 
チンプンカンプンの科学技術論?
 科学技術部は、本部の入口の階段を上がったすぐの左側に机二つ並べていた。部長のI君は、すでに代々木の党本部で顔をあわせていて面識があった。東京工大の大学院出だと言う事だったが、目も顔も体もまん丸、柔道3段と言う、体格に似合わず身が軽くおしゃべりで寸時もじっとしていない。奥の書記局、財政部、隣の文化部等、ほとんど関係のない領域を、関係のないおしゃべりをして歩き回り、何だが知らないが忙しそうにして1日過ごす。

 科学技術部は、別格で誰も干渉しない。青共本部内では科学技術部なるものは何をするところなのか誰も解っていない。
 私は、間もなく何もしないでいるのに息が詰まってきて、書記局に「どこか工場班に行ってみたい」と申し出た。数日ならずしてそれが実現した。
 
チンプンカンプンの科学技術論?
 JR田町駅を降りて間もなくコンクリートの塀をめぐらした大工場があった。
 守衛所で「労働組合へ」と言うと、笑顔で案内してくれた。最初に出てきたのは労組青年部長のN君、後に党本部青年対策部員になる人、近代的な工場労働者らしくキビキビした応対振りが小気味良かった。現場から駆けつけ紹介された青共班のキャップは、お下げ髪、小柄だが凛々しい感じの少女だった。班は100名を超えると言う。このTさんも、後に民青の南部地区委員長として活躍し、オルグ仲間でマドンナ的存在になった。
 昼のサイレンがなると、あっという間に、押しかけてきた若者たちで10畳ほどの応接間は忽ち満員電車並み、溢れた若者たちは廊下にひしめき合って、そのどの顔もどの目もきらきらと輝いて私に注がれる。