前代表社員長崎真人自分史
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第三部】第一話 中央科学技術部長は赤シャツの似合う好男子()
 
急造り木造二階屋の党本部

 初めて党本部に出勤する日、朝10時と指定されていたので、宿をゆっくり出て、渋谷から山手線で代々木下車、駅から5−6分の距離を、確かめるように、町並みに眼を留めながら歩く。
 代々木の党本部は、場所は今も変わらないが、現在の鉄筋コンクリートの、近代的なビルとは較べようもない、町工場を改装した木造の2階建であった。
 受付の小さな窓口に「科学技術部の石井さんに面会」と言うと、電話で連絡を取り、確認の上、案内してくれた。
  急造りで、建て増したり区切ったりしたのであろう、ギシギシ言う薄暗い階段を上がったり降りたり、迷路のような廊下を幾度か曲がって、「科学技術部」と書かれた小部屋に連れて行かれた。
 
 中央科学技術部と言っても、数日前にお会いした石井部長が独り、小さな部屋に押込められるように座っていただけだった。