|
|
貴方が倒れた凍えるようなあの季節から、もう三か月が経つのですね。・・・中略・・・あなたの書き残した小説仕立ての手記(未完)を読みました。そこには私の知らなかった、あなたの生い立ちや子供のころの生活が、地域や社会の中で生き生きと描かれていて感動しました。・・・中略・・・戦後働く中で、生き方について種々考えていたあなたに、徳永直らの「唯物弁証法読本」や、河上肇の「唯物史観」を貸してくれたのは、会社寮に同宿していた苦学生でした。あなたはその時の感動を綴っている。 |
|
|
「私は三日間、泣きながら、この本を読み続けました。難解で解読不能のところが多かったが、所々で衝撃的に胸をうたれた。それは『存在と意識』であったり『戦争と貧困』また『階級・権力・天皇制』であったりしたが、その全てが二十年の生涯を一本の鎖に繋げる環となっている事を知った。この時初めて憎しみと怒りとそして愛情を知った」と。戦争や貧困の原因が、社会の仕組みにあることを自分の苦しみを通して学んだあなたは、すべての人の幸せのために社会変革の事業に身を投じた。・・・・略。 |
二〇〇三年五月
|
|
|