前代表社員長崎真人自分史
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第一部】第十八話 野の花は枯れず(10
 
コミンテルン極東支部、日本・中国両国共産党の狭間で
 実は、日本の圧制と戦う上で、戦線の内部に、彼女を悩ます問題が最初からあった。それは、台湾が置かれた歴史的地理的な条件から発する独自な問題、宿命的とも言うべき問題であったのかも知れない。
 台湾が日本の領土であった当時の条件からすれば、台湾の革命運動は、日本軍国主義に対する日本人民の戦いと密接に結びついてこそ成功する事が出来る。その意味で、日本共産党の援助の下で台湾共産党が結成され、その指導下に置かれたのは正当であった。しかし、日本共産党との連絡は、治安維持法の下、途絶えがちであった。

 


 当時、世界の共産主義運動は、コミンテルンの指導下にあり、日本共産党も中国共産党も、その極東支部の指導を受けていた。コミンテルンは当時の条件から、台湾共産党と連絡をとるには中国共産党を通じてする以外になかった。そこで、しかるべき人材が中国共産党のオルグとして台湾に送り込まれた。
  台湾が本来中国の固有の領土であり、台湾の解放が日本の侵略に対する中国人民の戦いの一部をなすものと考えれば、台湾共産党は中国共産党の指導下に置かれるべきであったと言える。