事務所ニュースNo.286 2017.9.1 TOPへもどる 前号 次号

説明を拒み続け栄転・昇進
谷査恵子氏(在イタリア大使館) 佐川宣寿氏(国税庁長官)

 安倍昭恵夫人付き秘書官として、学校法人森友学園の国有地取得にかかわり「安倍昭恵夫人」の指示で対応していた中小企業庁の谷査恵子氏が、8月6日付で在イタリア大使館に異動をしたことが15日明らかとなりました。
 今回の異例ともいう異動については、「安倍昭恵氏をかばい、真実を明らかにしなかったことへの栄転、あるいは口封じ」との憶測が飛び交っています。世耕弘成経済産業相は、これらに「全く関係ない。他の人と同様に本人の能力や経験を生かした人事だ」と述べています。ただ、経済産業省の関係者によると、「ノンキャリア官僚で欧米などへの大使館への移動は異例だ」との声も出ているようです。
 森友学園に関しては、もう一人頭に浮かびます。谷氏と同様に「国会において、国有地売却問題での事実確認や記録の提出を拒み続けた」佐川宣寿財務省理財局長です。この佐川氏は、あろうことか7月5日付で国税庁長官への人事発令がされています。国有地売却問題での交渉記録などについて「売買契約締結をもって事案が終了しているので廃棄している」 「(政治家の)不当な働きかけは一切なかったので記録は保存されていない」と平然と答弁を繰り返していました。
 このような人物が税務における最高責任者ともゆうべき国税庁長官に就任です。仮に税務調査において「それらの書類は、申告も終了し納税も終了したので廃棄をした」など回答した場合は、少なくとも調査官は、「資料の無い経費は認めません」とされることは明らかです。その点からの記録・書類の保存をしていなかった財務省・佐川氏の責任は重大です。
 もっとも当人は、その責任を自覚してなのか、国税庁長官就任の恒例としての記者会見にも応じていません。(歴代長官の中では異例中の異例です)
 森友学園・加計学園での国会での対応は、まったく国民を愚弄しているもので疑惑は晴れません。

7月10日付 朝日新聞投書欄より (佐々木税理士の同意を得て掲載

   税理士 佐々木時輝(東京都 76)
 私は30年間税務署で所得税・法人税の調査をしてきました。調査の際、法令の解釈や適用の是非について、鋭く対決することもあります。この時大切なのは、双方で「事実」を確認し合うことです。
 結論を出すまでの経過は、「事実」を証明する書類などとともに記録して保存。納税者からの不服の申し立てなどに対処する時の重要な資料の一つとなります。
 新任の国税庁長官が公表されました。彼が、伝えられているような言動をする人なら果たして税務行政を信頼に足るものとして維持できるか心配です。
 租税をめぐる裁判は、証拠資料や文献などを総動員して行われます。新長官が過去にしたような「記録は、事案が終了しているので廃棄している」とか「個別に確認することは必要ない」などの発言は、ここでは絶対あり得ません。そうでなければ国民の信頼はおぼつかなくなります。
 現在の税務行政が国民の信頼に依拠していることを思うと、新長官の下、今後正しく納税にご理解をいただけるかどうか不安です。

終戦記念日に考える

 72回目の終戦記念日を迎えた8月15日、追悼式での安倍首相は、これまでの歴代首相が踏襲をしてきたアジア諸国への「損害と苦痛」 「深い反省」には一切触れていません。一方では、改憲に向けて執念むき出しの策動は相変わらずです。安倍首相のいう2020年の改憲スケジュール通り進めることを「日本会議」や「美しい日本の憲法を作る国民の会」は求めています。
 お隣の国、北朝鮮では、核・ミサイル開発をめぐりアメリカとの緊張が高まっています。安倍首相は15日、トランプ米国大統領と電話会談を行い「対話のための対話では意味がない」 「日本の防衛体制の強化と能力向上のために具体的行動を進める」ことで一致しました。
 国際社会では直接対話による危機の平和的解決を模索する動きに対して、日米一体化で軍事的圧力をさらに強める日米のこのような表明は、まさに逆行するものです。
 憲法九条を持つ日本の政府こそ、軍事的対応の強化ではなく、米朝の直接対話を実現し、核・ミサイル問題を平和的に外交的に解決するために先頭に立つべき時です。戦争の惨禍を経験している国だからこそ、二度と戦争が起きないように、無条件で直接対話に臨むよう呼びかけます。

税金の滞納

 都・県・市区町村・日本年金機構において、税金・国民健康保険・年金など収納確保のための滞納処分(差押えなど)が強化されています。事務所にも、「差押えを行う」 「差押財産を公売する」と言われたがどうしたらよいか?などの相談があります。
ぜひそうなる前に、「納付計画」を作成をして税務当局と話し合いを。



ご不明な点がございましたら、お気軽に当事務所へお問い合わせ下さい。

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