事務所ニュースNo.277 2016.5.6 TOPへもどる 前号 次号

「税務判決はなぜ誤るか」
〜納税者敗訴判決の要因を検証する〜

 2016年税制懇話会の春季全国研究集会が4月10日〜11日、岐阜県で開催されました。
 当事務所から永沢税理士・吉田税理士の2名が参加をしました。今回の研究集会は、大渕博義中央大学名誉教授による表題の「税務判決はなぜ誤るか」と題して、近年の税務訴訟の解説です。多くの訴訟では、課税庁有利の判決が出ています。
その原因は、裁判官の抱えている訴訟件数の多さが一因であり、税法を的確に学習する時間も不足しがちなことです。そのため、課税庁の判断が判決に反映する場面が多くなっていることです。
公正な判決を期待するためにも、「人手不足」の状態を解決することが訴訟という世界でも必要なことだと痛感したところです。

 大渕教授の講演に続き、今日の「税務行政の特徴」と題して、元税務職員の報告です。
平成22年度の定員56,261名が平成26年度には、55,703名へと減少。一方法人税の申告件数では、平成22年に2,762千件が平成26年には2,794千件へと増加しており厳しい税務署の職場の実態がリアルに報告されました。
◆税務調査の実態
【法人税】 平成22年 125千件 ⇒ 平成23年 129千件 ⇒ 平成24年 93千件 ⇒ 平成25年 91千件 ⇒ 平成26年 95千件
【所得税】 平成22年 694千件 ⇒ 平成23年 774千件 ⇒ 平成24年 682千件 ⇒ 平成25年 899千件 ⇒ 平成26年 740千件
(所得税については、机上で行う簡易な接触も含む。平成23年度税制改正による調査減が反映している。しかし、26年より調査件数が増加傾向となっている)
 同時に「国税庁が注視する富裕層の選定基準」が、日本経済新聞社の取材で明らかにされたとして報告されました。
◆主な選定基準
①配当所得 年間4,000万円以上の者
②株式所有 800万株以上の者など
消費税の調査においては、無申告者と還付申告者に重点的に事務量を投下。税務調査においては、国税通則法改正により年間調査件数の減少に歯止めをかけるために、あれこれと調査以外の事務を削減し、結果的にそれが職員の負担になってきていることが報告されました。

《滞納相談センターの活動報告》
 消費税増税など様々なことにより、やむを得ず税金を滞納する納税者の一助となればと、滞納相談センターの昨年9月から半年間の相談活動が福田税理士より報告されました。
 相談の内容については、国税や社会保険料の滞納相談もありますが、多くは地方税の相談が圧倒的です(70%程度)。
地方税の徴収行政の特徴は、広域運営による○○滞納整理機構とか、一定部分の滞納を市町村から県庁の「特別整理室」等に引き上げるやり方が目立つことです。そこでは、滞納者の個別事情などはほとんど斟酌をしない強権的な徴収手法が行われています。たとえば、資金繰りを無視し、到底不可能な一括納付、短期納付を迫り、不履行になることを見透かしたうえ「差押えを行う」、「生活費についても切り詰めさせて」納付する金額を引き上げるというようなやり方です。このような強権的行政に立ち向かうためにも税理士自身の学習が急務であることを痛感しました。

桜とお城を見学してきました
 春の一日、桜とお城を見に行ってきました。有名な高遠城や弘前城よりは桜の本数は少なかったですが、のんびりした日を過ごすことができました。
 日々の仕事で季節の移ろいもなかなか実感できない日常生活に大いなる変化で、明日からの仕事にも張り切って取りくむ事が出来そうです。

(吉田)

今年も参加をします。
第7回まちだなんでも相談会

 町田市において毎年5月の行事として定着をしてきた「まちだ なんでも相談会」が今年も5月15日に開催されます。相談内容は、雇用や健康、税金など多岐にわたっていますが、それぞれの専門家が協力をしあい相談に応じています。町田税経センターも参加をして、少しでも役に立てればと思います。



ご不明な点がございましたら、お気軽に当事務所へお問い合わせ下さい。

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