8月以降、当事務所で受けた税務調査は5件でした(3件は顧問先、2件は調査立会依頼)。
調査もほぼ終了し、顧問先の3件は申告是認、立会依頼を受けた調査は「修正申告」となりそうです。
今後の参考のために、調査経過の概要を報告します。
〈A社〉
○事前通知あり(11項目)。調査官1人で来社。立会は社長、当事務所から3人。
○事業概況聞き取りに3時間。(世間話のようなものが1時間半もあり、少しウンザリするも根気良く付き合う)
○午後から帳簿調査…仕入れの請求内容について一部期ずれ(翌期計上すべき仕入れが混入)があったが、1万円未満の少額につき指導事項。外注費、預金通帳の確認問題なし。2時間弱で帳簿調査終了。
○帳面や領収書等のコピー請求なし。
○「更正をすべきでない旨の通知」(いわゆる申告是認通知)あり。
〈B社〉
○事前通知あり。調査官2名で来社。立会…社長、専務。当事務所から2名。
○事業概況聞き取り 1時間半。会社設立の状況、取引経路や金の流れ、在庫管理など必要事項を簡潔に聞き取り。(予想された質問なので事前準備通り回答)
○見積書、注文書(注文請書)、請求書、領収書、現金売上領収書、預金入金状況、雑収入の計上の有無、社長からの借入金、同未払金の状況など確認。(見るべきものを的確に確認していた)
○期末在庫の計上額について、調査官と見解の相違。結果は、会社の計上方法を認めるが、来期以降はより正確な計上方法で行うよう指示。
○会社の前に自販機があるが、会社契約か個人契約かで契約書確認。(入金は個人通帳にあり個人で申告)
○帳簿等のコピー → 社長への借入金、未払い金の流れについて確認したいので経過を説明してほしいとのことなので、事務所からその項目をコピーし調査官に提出。
○申告是認(通知は12月予定)
〈C社〉
○事前通知あり。当初予定日より、会社の都合で50日延長。本社では調査対応不便なため当事務所の応接室で社長、税理士、担当職員が対応。調査官1名。
○事業概況聞き取り 1時間程度だが、物の流れ、金の流れ、帳簿作成の流れ等ほぼ確認。
○帳簿調査 約3時間。注文書と請求書の「差異」について、その理由を納得するまで確認し、売上入金状況に誤りはないので了解となる。
○外注費、一般経費領収書と突合、問題点なし。コピー等の請求はなかった。
○申告是認(通知は12月予定)
〈D社(調査立会依頼事案)〉
○調査官に「調査立会することになった」ことを通知し、代理権限書を提出するとともに、改めて事前通知を受ける。
○実地調査日までの間に、調査期間3年分について、原始資料から申告内容について事前検討。一部明確な誤りがあり、調査着手前に修正申告の提出も検討したが見送ることにする。
○調査官1名。立会…社長、当事務所から2名。見直した結果、申告内容の一部に誤りがあり、一部修正となることを伝える。
○事業概況聞き取り特になし。すぐに帳面や原始記録の確認に入るも途中で、「帳面等を貸して下さい」と請求。「この場で見るべきものは見て確認してほしい」と「留置き」要求については理由がないので断る。
○1回目の調査日から1ヶ月以上経過して、「もう一度帳面を確認したい」と連絡が入る。納税者と相談の結果これを受けることにし、当事務所内であと1日調査予定。
〈E社(調査立会依頼事案)〉
○7月に行政指導の申告書見直し依頼文書がくる。8月にその督促状がくる。9月に「申告について内容確認したい」と机上調査の来署依頼文書が来る。(この間、納税者は税務署との接触なし)
10月に署の担当者自宅を直接訪問。この時点で当事務所に立会依頼。
○代理権限書を提出するとともに、その場で改めて「事前通知」を受ける。調査担当者よりこれまでの経過説明。一部反面調査しており、反面調査を行った理由や一部収入申告漏れ(法定資料との突合の結果)について説明を受ける。
○申告内容の見直しについては、当事務所の見直し結果をもとに最終確認することで、調査担当者も了解する。
○不動産収入について、その権利関係、収入の帰属関係を再確認し、「実質所得者課税」で修正申告を行うことにした。
○一部修正、一部減更正となり、減更正分については職権で処分。
【記帳・原始記録の保存が大切です】
国税通則法の改正により、税務調査は「事前通知」 「調査の争点整理と調査結果の説明」 「処分理由」など各手続きを行うことが決まり、最終結論が出るまで以前よりは時間がかかるようになりました。
しかし、多少の時間がかかっても納税者にとって有利に調査を展開するためには、調査手続きをないがしろにせず税務署と対峙していくことが必要です。
また、調査を受ける心構え、事前の準備(帳簿や原始記録の点検、整理)、申告した内容に自信をもち回答できる資料を保存することがますます重要になってきています。
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