平成25年度の税制改正において、延滞税の引下げが行われました。その際に猶予制度についても検討を行うとされていました。今回、平成26年度税制改正において猶予制度について見直しが行われました。
《換価の猶予の見直し》 特例(申請)制度の特例
【改正前】
現行の徴収法では、次のとおり規定されています。
■税務署長は、次の事実に該当し、納税について誠実な意志を有すると認められるとき、換価の猶予をすることができる。(税務署長の職権による猶予)
①財産の換価を直ちにすることにより、事業継続・生活維持を困難にする恐れがあるとき
②財産を換価することが直ちに換価することに比べて徴収上有利であるとき
■猶予の効果:延滞税の軽減
■猶予期間:1年以内(延長可・最大2年以内)
■担保の提供:税額50万円を超える場合
【改正後】
改正徴収法では、税務署長の職権による換価の猶予に加えて、納税者の申請による猶予(徴収法151条の2)が新設されました。
◆一時に納付することにより、事業の継続・生活維持が困難になる恐れがあり、納税について誠実な意志を有するとき、「その国税の納期限から6ヶ月以内に申請がされたときに、換価の猶予をすることができる」とされました。
◆猶予の効果:延滞税の軽減
◆猶予期間:1年以内(延長可・最大2年以内)
◆担保の提供:税額100万円を超える税額かつ3月を超える分割の場合
◆その他:その申請書に次の書類の添付が求められます。
①財産目録
②前1年間の収入・支出の実績、今後の収入及び支出の見込みの書類
③担保提供の書類
これらの書類は、職権による猶予の場合においても「税務署長は必要があるときは、提出を求めることができる」と改正されています。
◆改正法の適用時期:平成27年4月1日以降に納期限が到来する国税からの適用となりました。すなわち、平成26年分の所得税確定申告期限「27年3月16日」より後の適用となります。たとえば、4月1日以降の確定申告や期限後申告、修正申告などが該当することになります。
【納税についての切実な意志】
従来において期限内の納税をしていたかどうか、納税の猶予、換価の猶予等の場合に確実に分割納付を履行したかどうかを参考にして判定。この場合、過去にほ脱の行為または滞納の事実があっても、現在において誠実な意志を有しているかどうかにより判定(徴収法基本通達151条関係2)
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