安倍首相・自公政権は10月1日、2014年4月1日から消費税率を5%から8%に増税することを決定した。
昨年8月、民主・自民・公明の3党合意で消費税増税法案が成立して以来、国民・中小企業者の多くが増税に反対してきたが、安倍首相はこうした声をことごとく無視し、国会での多数の力を背景に増税に踏み切った。
消費税増税は財界・大企業の要望を実現するためのものであり、増税決定に私たちは強い反対の意思を表明する。
消費税は、1978年大平自民党政権で一般消費税として提案されて以来、国民の支持を得ることなく幾度となく廃案となってきたが、1989年4月竹下自民党政権で導入され25年経過した。この間、私たちは税制・税務行政に携る者として消費税が「税制の基本原則である応能負担制度に反する税制、弱者ほど負担率が強まる逆進性の高い税制、力の弱い企業には転嫁が困難な税制、中小企業者にとっては記帳・保存義務など負担が重い税制、大企業・輸出事業者にとっては優遇税制」等々、国民には稀代の悪税であることを訴え廃止を求めてきた。
安倍首相は消費税増税を決定した根拠に「デフレ不況の克服、経財指標が上向き」等を挙げているが、利益が増大し回復しているのはほんの一握りの大手・大企業であり、勤労国民の収入・所得は1997年以来減少したままである。景気回復には、勤労者の賃上げこそ最重要課題であるにもかかわらず、日本経団連・大手大企業はこの間、大儲け分は内部留保として積み立て、賃上げ原資に回そうとしてこなかった。これでは到底、景気回復が進むとは思えない。
1997年、消費税が3%から5%に増税された時も、そして今回も増税の目的は「社会保障費」関係に使用することが謳われたが、今日の状況をみると高齢者窓口負担の増加、年金の切下げ、生活保護費の切下げ等々社会保障はむしろ切下げられており、今後、さらに弱者切り捨ての社会保障政策が目白押しである。
消費税増税により日本経済が大きく後退し、デフレ経済に陥ったことはさきの増税時に経験しており、その二の舞を繰返すことは国民の生活と営業に壊滅的打撃を与えることになる。そのようなことは絶対あってはならない。
日本の税制は長年、個人所得税・源泉所得税・法人税を基幹税とし、それに対応した税務行政がとられてきたが、消費税が基幹税となれば、消費税中心の税務調査など税務行政も大きく変化する。課税・非課税・不課税・免税など複雑な課税形態やその取引記録の保存義務の有無により納税額が大きく変わる消費税は、税制上も不公平な税制と言わざるを得ない。
消費税はあらゆる点で「悪税」である。私たちはこの悪税のさらなる増税を許すわけにはいかない。2014年4月1日実施を阻止するため、さらにその後に予定されている消費税10%を阻止するため、勤労者国民、中小企業経営者等とともに反対の声を結集し粘り強く訴えていく。
2013年10月1日
東京税財政研究センター
理事長 永沢 晃
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