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私は、引き込まれるようにして一気に読み通した。身体が震える想いであった。三日三晩、抱き締めるようにして幾度も読み返した。
論旨は理路整然。砂にしみいる水のように、素直に理解できた。理解と言う以上に、私の全身に新鮮な何かが通り抜けるのを私は感じていた。その時まで、私の頭の中を一杯にしていたあれやこれやが、急速に整理され秩序立てられていくのを、何とも言えぬ爽快さで私は受け止めていた。 |
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私が、挫折感・敗北感に閉じ込められて死をさえ思ったのは、この自分の境遇の変化が自分だけの事としか考えられなかったからだ。なんで自分だけこんな事になってしまったのかと思うと、わけ解らなかった。出口はなかった。絶望する以外になかった。
それが、この本の説く社会的な視野に立ち、世の中の仕組みと歴史の流れの中で関連付けて見れば、自分だけの事と思っていたのが、そうではない。社会全体の問題である事が理解できるようになってきた。 |
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