前代表社員長崎真人自分史
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第一部】第十話 太平洋戦争始まる/黒瀬さん(姉の恋人)の戦死(
 
 これより前、満州事変が始まったのが昭和6年・私が4歳のとき、シナ事変が昭和12年・小学校4年生のとき。軍国色1色の中で育った私など軍国少年にとっては、敗戦など全く考え及ばぬ事、ただ天から降ったような皇軍の戦果に夢中でした。

 この日からこの戦争が、平和であった我が家に、そして私の前途にも、どんな過酷な運命を課すことになるか、全く予期し得ないことでした。

 間もなく一家は離れ離れにされ、それぞれが戦争の渦中で想像に絶する異常な体験をなめる事になりました。これ以後今日に至るまで、一家がひとつ屋根の下に住む機会はもう二度と巡ってはきませんでした。