菅民主党内閣は7月26日東日本大震災復興対策本部を開き復興財源確保のため5年を基本に10兆円程度の増税(復興費用10年で23兆円規模を想定)を所得税・法人税の定率増税で行う方針を示した。また、6月末に決定された「社会保障と税の一体改革」案では、将来の社会保障費(30兆円規模)は消費税で賄うことを決め、2010年代中頃までに消費税を5%から10%程度に引き上げる方針を示めしている。
こうした政府の増税方針は8月からの政府税制調査会で本格的な議論がされるであろうが、「はじめに増税ありき」の施政に違和感を覚える。
所得税・法人税・消費税を大幅増税する以外に道はないのだろうか。今こそ「税制の在り方」について国民的議論をすべきと思う。
一定の増税が必要だとしても、税制を「応能負担の原則」に戻し、金融資産等の分離課税制度を見直し総合課税、・累進課税制度をしっかり作ること。各種の租税特別措置の見直しを徹底することなど税のあり方を基本的に見直すことが先決ではないだろうか。
こうした見直しを行わないまま「広く薄く課税する」「取りやすいところから取る」「財界の意向に沿う」というような方針が垣間見える。
震災復興の財源は当然確保しなければならないが、「自助・共助・公助」を理由に被災者自身に負担を求める消費税増税や所得税増税はすべきではないと思う。当面その財源は「復興特例公債」を発行し、その公債は大企業がため込んでいる巨大な内部留保(300兆円前後)で引き受けてもらうことなどを大胆に政策化することも必用なのではないだろうか。
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